玉砕

愛と勇気とが欲しいよ、な此の頃で御座います。

何で其処で言わない！
「次来るのはいつなの？」と！

わあ、わたくし偶然にお休みだから、
閑だったら、宿まで送りましょうか？

ですから食事でも奢って下さいな。
何ならお酒でもオールオッケイでしてよ。
プチ酒豪がお相手いたしましてよ。

ですから色んなお話をお聞かせ下さいな。
今お付き合いしているヒトは居るのです？
好きなヒトは？
殿方に襲われたお話も隈なくお聞かせ下さらなくっちゃ！

何なら次の日の朝だって、御迎えに馳せ参じましてよ。
ですから早起きして下さらなくちゃ。
何ならお起こし致しましてよ。
ですから共に夜更かしをして、もっと色んなお話をお聞かせ下さいな。


……という長文で厚かましい口説き文句を、
何故其処で言わない！

言わないのか言えないのか
わたくしは、何の御話の切り口も得ることをせず
ただおしごとの御話のみをして
「またね」という彼の言葉に
「はい〜」と一般的過ぎる言葉を返して
滅多にかけやしない自腹の携帯電話を切った

（外回りの営業では御座いませんので、おしごと用携帯等は勿論支給される筈もなく）

又ひと月も此れを放っておくのかしら
自分でも呆れ果て
意気地の無い自らをこそなじるべきだと悟る

負けなのか勝ちなのか、イヤすごく負けだ、と責め立てながら明日も頑張りますでしょう。